背伸びして上場を目指す経営者に対する10のお願い
1990年代、ゲーム会社が相次いで上場した。私の会社も上場した。この時期を境に、ゲームは子供やマニアのものから一般的なものになった。キャズムを読んだ後で考えれば、上場するということはキャズムを超えるということではないかと思える。
上場するときには、うんざりするほど書類を提出しなければならない。アイデアを形にして、それをマネタイズするまでの流れは特に重要で、あいまいな説明は何度でもダメだしされる。重要なのは何年も先を考えて、計画的に売り上げを伸ばしていく仕組みが存在しているということらしい。いつも損していても、たまに大ヒットでモトを取ればいいと思っていたら戒められた。
たしかに、投資家の立場で考えれば大増収または大減収といったサイコロみたいな銘柄は賭博の対象ぐらいにしか思えない。
もちろん、法令順守といった面も重要で、昼夜を問わずぶっ通しで働き続ける従業員とか、グレーゾーンからの利益というのは論外である。ドンブリ勘定など許されるわけがない。ヒット時の臨時ボーナスだって、株主に説明できる範囲内となる。
上場後は会社のスローガンではチャレンジとか言っても、全然危ない橋は渡らない。ただし、創業社長が大株主である場合は別である。株主説明はすなわち自分への説明だからだ。
ということで、上場前と後では職場環境が激変する。私の会社も上場後にそれまでの従業員の大部分がやめていった。金銭面の問題ではなく、まともな会社には向いていないのではないかと思う。
私は、ずっと徹夜を続けて一発狙いをするような環境で、このまま人生を歩むのか?これから結婚して子供もできて、親の面倒も見ることになるのに、人生全部を仕事にささげていいのか。と言われて踏みとどまった。その後の人生を考えるとその決断は間違っていなかったと思う。
もちろん、全力で働きたい人はやめていった。彼らは優秀であったが、ある者は失敗し、ある者は大きく羽ばたいていった。彼らを、冒険できない会社につなぎとめることがよいことであるとは思えない。
上場前はよかったと何年もぼやいている人もいたが、去年退職した。彼にとって上場後は無駄な年月であったに違いない。
キャズムでは、キャズムを超える前の人を「開拓者」、越えた後の人を「移民」としている。冷たいようだが「開拓者」と「移民」は違うのだとも書いてある。
ちなみに、開拓者たちのその後
・社内政治力を生かして出世街道を邁進中。もう人間が変わったかと思えます。昔の面影はありません。
・フリーになって、個人事業者として仕事を受託、そのうち他社からも受託。値段は高いが仕事は迅速丁寧なので信頼されてます。
・大企業への転職。上場したての会社と比べて、福利面ではやっぱり充実度が違うそうです。大きな案件も受けられるし。
・自ら起業、お金がないとか言う割には、経費いっぱい使ってます。
・より小さな会社に重役待遇で転職、その後、会社は内紛で分裂し、嫌気が差して自分で起業。そして裁判。
・全く分野が違う仕事について音信不通
・散々文句を言って別会社に転職したが、その後の合併でリターン。
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- 2007/08/23(木) 01:18:33|
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